事業承継税制の改正

平成25年度の税制改正によって相続・贈与・事業承継に関する税制が改正され,平成27年1月1日から適用されることとなります。

相続税の基礎控除額が「5000万円+1000万円×法定相続人の数」から「3000万円+600万円×法定相続人の数」へと引き下げられたり,税率が上がったりなど,税負担の増加が見込まれることが広く報道されていますが,他方で,従前からの事業承継税制については,より利用しやすいものとなるよう適用要件が緩和されています。

事業承継税制は,事業承継の目的で非上場株式等を贈与・相続した場合の贈与税・相続税の納税を猶予又は免除する制度であり,例えば後継者への発行済株式の3分の2以下の株式の贈与について贈与税の納税が猶予され,その後,死亡時に免除されるという太っ腹な制度ですが,要件が厳しいなどの理由で想定よりも活用されていなかったようで,より多く活用されるよう改正がなされたものです。

平成25年度の改正では,後継者は親族に限るとする要件が廃止され,親族以外の者を後継者とする場合でも適用できることとなったり,先代経営者は役員を退任していなければならなかったものが,代表権がなければ役員に留まっていてもよいこととなるなど,制度が使いやすいものとなるよう改正がなされています。

この度の事業承継税制改正の施行を契機に事業承継対策を検討される方が増えるかも知れませんが,税対策の面のみならず,紛争予防の面についても忘れずにご検討ください。


なお,弁護士や裁判官でもTwitterやFacebookを頻繁に利用している方が多くいます。自分の事件の担当裁判官が弁論準備期日の直前・直後まで気になる記事などをリツイートしているのを見ると,ツイートの合間に「ついでに」期日をこなされているだけのような気分になります。事件や相手方弁護士,依頼者などについてツイートしている弁護士は,その相手方弁護士が見ている可能性を考えていない点で信用できません。
企業としては,特殊な業種でない限り,従業員によるソーシャルメディアの利用を全面的にコントロールすることまでは許されないでしょうが,ソーシャルメディアは比較的新しいツールであり,その位置付けや利用方法についての認識は世代間,個人間によって様々で,共通認識が確立されているとは言いがたい状況ですので,ソーシャルメディアの利用について指針を示さずに個々の従業員の「常識」に任せるのでは,世代間,個人間の認識の違いから思わぬ事件に至ってしまう可能性もあります。
この問題については,共通認識を確認した上で,従業員ひとりひとりがこれを理解してソーシャルメディアを利用するようにするほかなく,あらかじめソーシャルメディアの利用に関するガイドラインや行動指針を策定し,これを従業員に周知することが必要です。
大企業では,すでにこのようなソーシャルメディア利用に関するガイドラインや行動指針の策定を行っている企業も多いようですが,中小企業ではまだ少ないのではないかと思われます。
しかしながら,いざという場合のダメージは,大企業よりも中小企業の方がより深刻なものとなる可能性があります。中小企業であれば,ガイドライン策定の過程で従業員からの意見を聞き,これを取り入れていくことで,作成過程において共通認識を形成を促進することも期待できます。
こうした状況に危機意識を経営者や担当者の方は,機会を見て弁護士などの専門家に相談をし,企業のソーシャルメディア利用ガイドラインの策定を開始することをお勧めします。

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