事業再生

事業再生の意義

企業は、顧客に商品やサービスを提供し、雇用の機会を創設し、社会を豊かにする存在です。
企業の経営が健全に継続すること自体に社会的価値があります。
事業に問題が生じている場合に必要な対応を行って事業を再生させることは、その企業の関係者だけでなく社会にとっても重要なことです。

できるだけ早期に相談し検討を始めることの重要性

事業再生のためにとりうる方策は様々ですが、時間が経つに連れてとりうる方策の選択肢が限られてきます。
危機が目前に迫ってから動き出しても、資金的にも時間的にも余力がなく、廃業を選択せざるを得ないことが多くあります。
検討を開始するのが早ければ早いほど、とりうる方策の幅が広がり、事業再生が成功する可能性が高まります。
事業に問題が生じている場合には、できる限り早い段階で弁護士等の専門家に相談し、対策の検討を始めることがとても重要です。

事業再生の方法

事業に問題が生じている場合の例としては、事業自体は採算がとれているものの過剰な借入金債務の返済が負担となって事業継続が困難となっている場合や、採算部門と不採算部門の双方を抱えており不採算部門のために全体としては事業継続が困難となっている場合などがあります。
過剰な借入金債務の返済が負担となっている場合には、財務状況を適正に評価検討した上で、債権者にリスケジュールや債務免除を求め、借入金債務返済の負担を軽減させる方法などを検討することになります。
また、後者の場合には、不採算部門を閉鎖したり売却(外出し)したりする方法や、第二会社方式によって採算部門を外出しする方法などを検討することになります。
もちろん、いずれの場合も、再生される事業自体が健全に継続していかなければなりませんので、再生される事業自体にも問題がある場合には、経営改善を徹底的に行う必要があります。

事業再生の手続

再生する事業の価値をできるだけ毀損しないように、民事再生などの法的整理よりも私的整理手続によって手続を進める方が妥当な場合が多いと思われます。
私的整理による場合は、多くの中小企業では、中小企業再生支援協議会スキームや特定調停スキームによることが現実的かつ妥当な手続であることが多いと思われます。

廃業を選択せざるを得ない場合

事業継続が困難であり、事業再生も困難である場合は、廃業を選択せざるを得ません。
経営者は事業に強い思い入れがあるのが当然であり、経営者にとって廃業を決断することは大変難しいものです。
しかしながら、廃業の決断を先延ばし、無理をして事業を継続しようとすると、最終的に多方面に無理をお願いしながら切羽詰まった状態で倒産するほかなくなってしまい、債権者や従業員等の関係者にさらなる迷惑をかけることにもなりかねません。
また、事業継続が不可能なのであればこれを整理した上で、新たな事業を始めるなどした方が、経営者自身にとっても、また社会にとっても、有益です。
事業再生の可否を早期に見極めるためにも、できるだけ早く事業再生の検討に着手することが必要です。

経営者の保証債務について

経営者は経営する企業の借入金債務について連帯保証をしている場合がほとんどです。
企業の借入金債務について債務免除を受けたり整理をしたりする場合には、経営者の保証債務についても
整理を行う必要があります。
経営者保証に関するガイドラインでは、企業が事業再生や廃業をした場合の経営者の保証債務の整理方法についての
準則を定めています。
このガイドラインでは、経営者による速やかな事業再生や早期の廃業決断を促進するため、
自己破産の場合に認められる自由財産に加えて、一定の資産を経営者のもとに残存させることを認めています。

当事務所へのご相談

事業再生を確実に進めるためには、税務や経理会計に関する知識経験だけでなく、上記のような各種手続に
関する法律上の知識経験も必要です。
当事務所は事業再生事件の経験を有しており、案件に応じて税理士や公認会計士など他の専門家とも協力しながら、
各種スキームやガイドラインを活用した事業再生を進めることができます。
事業再生を検討されたい場合には、まずは当事務所にご相談ください。