「すばらしき特殊特許の世界」について

 

昨年の11月にサッカーで左足の半月板を損傷してしまい,今年の1月末に手術をしました。

しばらくの間は左足に体重をかけることができないため,松葉杖で移動しています。

全く痛みはなくただ不便なだけなのですが,他から見ると痛々しい姿のようで,ご心配・ご迷惑をお掛けしております。

このような状況のため,休日に出かけることもできないので,家で本を読んでいますが,「すばらしき特殊特許の世界」というなかなか面白い本を見つけました。

 

すばらしき特殊特許の世界 すばらしき特殊特許の世界
稲森謙太郎

太田出版 2014-01-23
売り上げランキング : 3105

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「特殊特許」というのは著者の造語で,変わった個性的な特許のことだそうです。

この本では,必ず目覚めることができる目覚まし時計の話や,京都大学で売られているエジプトビールの話,切り餅の切り込み位置を巡る有名な紛争の話など,特許を巡る興味深い話が著者独自の切り口で紹介されています。

特に面白かったのが,塩味冷凍枝豆の特許の話でした。

日本水産株式会社が塩味冷凍枝豆の特許を出願し,認められたのですが,その特許請求の範囲が

【特許請求の範囲】
【請求項1】 豆の薄皮に塩味が感じられ、かつ、豆の中心まで薄塩味が浸透しているソフト感のある塩味茹枝豆の冷凍品。

 

というものだったそうです。

特許出願をする際には「特許請求の範囲」を記載します(「特許請求の範囲」は「クレーム」とも呼ばれます。)。特許権の範囲はこの「特許請求の範囲」の記載に基づいて決まりますので,この記載はとても重要です。

上記の特許請求の範囲は,「豆の薄皮に塩味が感じられ、かつ、豆の中心まで薄塩味が浸透しているソフト感のある塩味茹枝豆の冷凍品。」というものですので,ほぼすべての冷凍枝豆が含まれてしまい,他社が塩味の冷凍枝豆を作ると特許権侵害となってしまいます。
それでは困るということで,他の冷凍食品会社が上記特許の無効を主張し,紛争になったとのことです。

上記のような特許請求の範囲の記載の仕方をした結果,権利としてはとても広くなり,その意味で強い権利だったといえますが,結果的に無効となっており,振り返ってみると無用の紛争に時間と労力を費やしたとも考えられ,当初の方針が良かったのかどうかよく分かりません。
この紛争の裏側については「知的財産物語 枝豆戦争」という本に詳細が書かれているそうで,手に入れたいのですが,すでに売られていないようであり,なかなか手に入れる方法を見つけられていません。

上記著書によると,この紛争の背景には食品業界における知的財産権に対する意識の低さがあったのではないかとのことです。

北海道には食品関連事業者が多くあります。

現在は当時とは状況が変わっているとは思いますが,経営にあたっては知的財産対策・戦略についても忘れずに十分留意する必要がありそうです。

 

昨年の11月にサッカーで左足の半月板を損傷してしまい,今年の1月末に手術をしました。しばらくの間は左足に体重をかけることができないため,松葉杖で移動しています。
全く痛みはなくただ不便なだけなのですが,他から見ると痛々しい姿のようで,ご心配・ご迷惑をお掛けしております。

このような状況のため,休日に出かけることもできないので,家で本を読んでいますが,「すばらしき特殊特許の世界」というなかなか面白い本を見つけました。

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特に面白かったのが,塩味冷凍枝豆の特許の話でした。
日本水産株式会社が塩味冷凍枝豆の特許を出願し,認められたのですが,その特許請求の範囲が

【特許請求の範囲】
【請求項1】 豆の薄皮に塩味が感じられ、かつ、豆の中心まで薄塩味が浸透しているソフト感のある塩味茹枝豆の冷凍品。

というものだったそうです。
特許出願をする際には「特許請求の範囲」を記載します(「特許請求の範囲」は「クレーム」とも呼ばれます。)。特許権の範囲はこの「特許請求の範囲」に記載に基づいて決まりますので,この記載はとても重要です。
上記の特許請求の範囲は,「豆の薄皮に塩味が感じられ、かつ、豆の中心まで薄塩味が浸透しているソフト感のある塩味茹枝豆の冷凍品。」というものですので,ほぼすべての冷凍枝豆が含まれてしまい,他社が塩味の冷凍枝豆を作ると特許権侵害となってしまいます。
それでは困るということで,他の冷凍食品会社が上記特許の無効を主張し,紛争になったとのことです。

上記のような特許請求の範囲の記載の仕方をした結果,権利としてはとても広くなり,その意味で強い権利だったといえますが,結果的に無効となっており,振り返ってみると無用の紛争に時間と労力を費やしたとも考えられ,当初の方針が良かったのかどうかよく分かりません。この紛争の裏側については「知的財産物語 枝豆戦争」という本に詳細が書かれているそうで,手に入れたいのですが,すでに売られていないようであり,手に入れる手段が見つかりません。

上記著書によると,この紛争の背景には食品業界における知的財産権に対する意識の低さがあったのではないかとのことです。北海道には食品関連事業者が多くあります。現在は当時とは状況が変わっているとは思いますが,経営にあたっては知的財産対策・戦略についても忘れずに十分留意する必要がありそうです。

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